【海外でも通じる日本語】発見!異文化コミュニケーション#004

【海外でも通じる日本語】発見!異文化コミュニケーション#004

こんにちは!

 

日本を離れ、

オーストラリアへ移住することにした

伝え方研究所の杉です。

 

この連載では、海外でみつけた

コトバや伝え方の知恵をつづっています。

 

海外に出てみて感じたのは、

世界の日本への認知度は、

日本人の予想をはるかに

超えるものだったということ。

 

そこで今回は、外国人たちとの会話で

実際に見聞きしてびっくりした、

意外な日本語をご紹介!

 

近年の「日本ブーム」の影響もあり、

寿司(Sushi)漫画(Manga)といった

日本語は、もはや当たり前のように

通じるコトバとなっていますが、

 

「え!そんなコトバまで知られているの!?」

 

と驚かされることが、とても多いのです。

 

異国の地で、

予想もしない方向から再会した日本語たち。

 

さっそく、見てみましょう。

 

 

日本語の人気が、1位の街!

 

私がいまいるのは、

南半球のオーストラリア。

 

この国、じつは日本語学習の人気が

世界でもトップクラスなことを、

ご存知でしたでしょうか?

 

なんと約40万人もが学んでいて、

人口10万人あたりの割合は、

世界で、ずば抜けてナンバーワンなのです。

(※国際交流基金による)

 

じっさいにシドニー市街地を

歩いていて気づかされるのは、

日本語を見かける機会が、

とにかく多いということ。

 

まず、寿司やラーメンに代表される

日本食レストランは700店以上。

 

ユニクロや無印良品、ダイソー、

紀伊國屋書店といった日系企業のお店も多く、

ポスターや看板に、

デカデカと日本語が書かれていたりします。

 

人気漫画の『ワンピース』や『NARUTO』の

キャラクターが描かれた服やバッグ、

日本語が書かれたTシャツを身につけている人、

さらには、コスプレイヤーを見かけることも。

 

また、高校では、

日本語が選択科目のひとつになっているそう。

 

書店には日本語の教科書コーナーがあり、

テキストを眺める人の姿もよく目にします。

 

さらにさらに、

日本人であることを相手に伝えると、

現地の人からそれなりに流ちょうな

日本語で返された経験も、

一度や二度ではありません。

 

世界では、予想をこえて、

日本のコトバや文化が、

かなり浸透しているのです。

 

 

日本の繊細な「食」にかんするコトバに熱視線

 

こうした背景もあり、

世界でそのまま通じる日本語のコトバは、

少なくありません。

 

なかでも、とくに認知度が高いのが、

日本食にかんするもの。

 

たとえば、

 

「sushi(寿司)」「ramen(ラーメン)」

は言うにおよばず、

 

・teriyaki(照り焼き)
・matcha(抹茶)
・sake(日本酒)
・bento box(弁当箱)

 

なども、欧米人同士の会話で、

当たり前に使われる定番のコトバです。

ですが、ここは新しいモノを好む

欧米人たちの暮らす国。

 

こうした「すでに知られた日本語」を超えて、

新しい日本語を“発見”しようとする

飽くなき冒険が、日夜つづいています。

 

たとえば、日本食レストランなどで、

よく見かけるようになっているのが

 

「Umami」

 

の文字。

 

文字どおり「うま味」を指していますが、

チーズや味噌、キノコのような、うま味成分を

象徴するような食材以外でも使われるのが、

日本とはひと味ちがったところです。

 

ラーメンにトッピングする味付け

卵のネーミングが

 

「Umami Egg」

 

だったり、

いわゆる普通のたこ焼きが

 

「Umami Takoyaki」

 

として売られていたり・・・・・・。

 

「Umami」は、現地の人たちの食欲をそそる

“マーケティングワード”の役割を

期待されているようなのです。

ちなみに、うま味と近縁にある

「soy source(醤油)」も、

海外ではもはやメジャーな存在。

 

ふつうの醤油に飽きてしまった

“食通”の需要を見こんでか、

たまり醤油に由来した

「Tamari」の名前がついた商品も、

「Umami」とおなじように、

スーパーやレストランなどで

しばしば見かけます。

 

 

なぜ?あの日本語が、超メジャーな英語に

 

「食」に関連する日本のコトバは、

これだけではありません。

 

現地で流通している日本語で、

もっとも意外だったのが、こちらのコトバ。

 

「Kombucha」

 

そう、昆布茶です。

 

(英語風のアクセントがききますので

「コンブーチャ」のように発音されます)

 

流行をしらべるGoogleトレンドによれば、

この単語は10年ほど前から

ものすごい勢いで検索されるようになり、

「kombucha benefits」(昆布茶 効能)

/「kombucha buy」(昆布茶 購入)

といった関連ワードは、

当時とくらべて200%以上もアップ。

 

なんと、いまやオックスフォード辞典にも

掲載されています。

ちなみに、このKombucha、

実物は日本の昆布茶とは

似ても似つかぬまったくの別物。

 

「健康に良いから、私もよく飲んでるわよ」

という現地のオーストラリア人から

「スーパーで簡単に買える」と聞き、

さっそく足を運んでみると・・・・・・

 

そこにあったKombuchaはなんと、

炭酸入りの甘い発酵ペットボトル飲料でした。

 

しかも、「アップル」や「ジンジャーレモン」、

「マンゴー」といったフレーバー付き。

 

どうやらヨーグルトのように、

腸内環境をととのえる働きをする細菌が

ふくまれているそうです。

 

 

それにしても、なぜ、この飲み物が

Kombuchaと呼ばれるようになったのか?

 

一説によれば、

 

「成分を発酵させて生じたゼラチン状の物質が、

コンブに似ていたから」

 

ということ。

 

ただし、ハッキリとした理由はわかっていません。

 

 

日本人特有の考え方を象徴するコトバが人気

 

さて、世界で見聞きする日本のコトバは、

もちろん「食」関連のものだけではありません。

 

最後に、日本人の「当たり前」の考え方に

影響を受けた欧米人の間で、

近年、注目を集めつつある

日本のコトバをみてみましょう。

 

 

■「ikigai」(生きがい)

 

書店で、このコンセプトを紹介する

コーナーが設けられるほど

人気を集めているのが、このコトバ。

 

「自分の人生にとって、何が大事なのか」

 

を見つめ直すときに

語られることが多いコトバですが、

欧米でも、ほぼ同じ意味で流通しています。

 

目の前の忙しい仕事やSNSの通知に追われ、

なにかと気ぜわしい現代社会で、

精神的なゆたかさを求めるニーズに

「ikigai」のコトバが、

ぴったりとハマったようです。

 

 

■「kintsugi」(金継ぎ)

 

日本の伝統的な修理技術のひとつとして

知られる「金継ぎ」。

 

壊れてしまった陶器を、

金の粉などをもちいて修復するアレです。

 

このコトバが、「kintsugi」(キンツーギ)として

人気をあつめています。

 

注目されるのには

いろいろ理由があるようですが、

多くの欧米人が口をそろえるのが、

 

「壊れた部分がわからないように

直すのではなく、

むしろ金を使って目立たせ、

しまいには『美しいデザイン』として

あつかう点がユニーク」

 

ということ。

 

これが物理的な修復だけでなく、

「人間的な成長」の話にも通じる

「日本独自の哲学」として

称賛をあびているのです。

 

どういうことかというと、

 

人はだれしも失敗するものだけれど、

心の傷や過去の失敗を受けいれ、

そこからの回復や成長をたいせつにし、

最終的にはそれを「個性」として

ポジティブに認めることで、

内面を磨くことができる——。

 

そんな“日本的な価値観”を

象徴するコトバとして、

ひろく受けいれられるようになっているのです。

さて、今回は、海外で流通しつつある

日本のコトバをみてきました。

 

外国人観光客が増えるなか、

もし外国人とお話しする機会があれば、

ぜひ話題に出してみてください。

 

会話に花が咲くかもしれません!

 

 

さいごに

 

「英語がペラペラになれたら良いなあ・・・・・・」

 

私がそんな風にぼんやりと思い続けて、幾星霜。

 

でも、心に思っているだけで

物事が実現するほど、

世の中、甘くはないものです。

 

お年寄りになって、

身体に自由が利かなくなった自分が、

窓の外を見やり、

 

「英語、ペラペラになれたら良いなあ・・・・・・」

 

という全く同じセリフを

口にする姿をふと想像したとき、

ゾッと身震いする思いがしました。

 

そして、心に決めたのです。

 

「そうだ、海外移住しよう」――。

 

筆者はオーストラリア・シドニーに

移り住むことにしました。

 

現地で英語を勉強し、

世界中の人びとと自由に

コミュニケーションできるようになるためです。

 

日本とは異なる文化や考え方をもつ

外国人と関わると、新しい発見が、

きっとたくさん得られるはずです。

 

それは、多くの日本人が思い込んでいる

「当たり前」を問い直す気づきかもしれません。

 

あるいは、今までぼんやりと信じていた考えに、

「やっぱり正しかった!」という

“お墨つき”を与える体験かもしれません。

 

このコーナーでは、

現地で発見したコミュニケーションの知恵を、

できるだけありのままに、

皆さんにお伝えしていきます。

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