【海外広告のユニークな伝え方】発見!異文化コミュニケーション#007

【海外広告のユニークな伝え方】発見!異文化コミュニケーション#007

こんにちは!

 

日本を離れ、オーストラリアへ

移住することにした

伝え方研究所の杉です。

 

この連載では、海外でみつけた伝え方や

文化のちがいをつづっています。

 

今回のテーマは、外国企業や

キャンペーンの「ユニークな伝え方」

 

印象的なグラフィックや、言葉あそびなど、

お客さんの関心をあの手この手で

集めようとする工夫の数々をご紹介します。

 

さっそくですが、たとえばこちら。

 

のど飴の広告です。

 

 

「あなた、ゴホッ(咳)、すてきにみえるね」
――良い話は、良い話に聞こえるようにしよう。

 

思わずクスッときてしまう

ユーモラスな伝え方ですよね。

 

オーストラリアは、

空気が乾燥しがちな気候もあってか、

喉にうるおいをもたらすドロップスが人気。

 

ライバルの製造者たちがひしめくなかで、

お客さんに商品に気づいてもらい、

おぼえてもらうよう工夫することは、

企業にとって、とっても大切なことです。

 

その点、この伝え方はかなりシンプルなうえに、

笑いをさそうもので、

お客さんの注目を引くことに

見事、成功しています。

 

 

正反対のコトバで印象的に

 

商品といえば、こちらのドリンク会社の

伝え方も工夫がつまっています。

 

 

キャッチコピーは、

 

「小さなドリンク、大きな味わい」
(small drink, massive taste)

 

英語ではたったの4単語と、

とってもコンパクトながら、

大きなインパクトを与える、

よく練られた伝え方です。

 

じつはこのコピー、「伝え方の技術」を紹介する

『伝え方が9割』(佐々木圭一氏、ダイヤモンド社)

によるところの「ギャップ法」がつかわれています。

 

ギャップ法とは、伝えたいコトバの

正反対のコトバをあえて並べることで、

印象をつよめる伝え方の技術。

 

単に「大きな味わい」といっても

意味は同じですが、

あえて「大きな」に対して「小さなドリンク」という

反対の意味のコトバをもってくることによって、

全体としてコトバの強さが

大きくなっていますよね。

 

この企業は、メインコピーのほかにも、

さまざまなところでこのギャップ法を用いて

アピールしています。

 

たとえば、こちらの企業理念。

 

 

小さなドリンク、大きな夢」
「こんにちは。
私たちはイノセントです。

私たちがつくっているのは
小さな飲み物ですが、
より素晴らしく、
ヘルシーな世界をつくるという
大きな夢があります。

2025年までに
カーボン・ニュートラルを実現し、
利益の10%をチャリティに寄付し、
母なる自然の恵みをドリンクに詰め込む。
それが私たちの使命なのです」

 

コトバのインパクトを強めるだけでなく、

小さな行いの積み重ねを通じて、

未来に大きな変化をもたらす・・・・・・

というストーリーをわかりやすく

伝えることにも成功しています。

 

 

◇「○○」を「チャンピオン」と言いかえる着眼点

 

つづいては、こちらのキャンペーン広告。

 

 

「オーストラリアには、
チャンピオンが足りていません」
(Australia has a shortage of champions)

 

なにかといえば、精子提供をよびかける

キャッチコピーなんですね。

 

子どもをもちたくても

現状ではむずかしい人にたいして、

精子ドナーとして助けを求める内容です。

 

しかし、「精子ドナーになってください」というと、

あまりにストレートな感じがして、

なかなか行動には

つながりづらいかもしれません。

 

そこで「精子」を

「チャンピオン」と言いかえることで、

男性たちに直感的に刺さる伝え方へと、

みごと変化させています。

 

 

 

◇気になるなら、今ここでやってみて!

 

つぎは、アプリのユニークな「伝え方」。

 

ちょっと意外かもしれませんが、

ここオーストラリアでは

禅瞑想やヨガが人気です。

 

忙しい生活のなかで気持ちをおちつけるために

効果的ということで、流行しています。

 

そんなメディテーション(瞑想)をサポートする

「Calm」というアプリがあり、

そのダウンロード方法を伝える文章が

一風かわったものだったので、ご紹介します。

 

 

「不安を和らげる4つのステップ
1. スクロールを少し止める。
2. 一瞬立ち止まり、自分の呼吸に気づく。
3. 深呼吸をする。
4. Calmをダウンロードする。」

 

この伝え方がすぐれている点は、

複雑な説明がいっさいなく、

それでいてお客さんがアプリから

どんなメリットが得られるのかを即座に、

実際的に示していることです。

 

アタマで理解させるのではなく、

ネット版“実演販売”とでもいえるような

直感的な伝え方がおもしろいですね。

 

 

◇あおり運転をふせぐ!ショッキング療法

 

さて、最後は、とてもショッキングな

看板広告をお見せします。

 

 

看板には、車が2台。

その2台が接触するあたりで、

看板そのものがぐちゃぐちゃに

なってしまっています。

 

そして、左上にはこんなコピーが。

 

「あおり運転に、価値なし」
(TAILGATING ISN’T WORTH IT.)

 

「きちんと車間距離をとらないと、

看板のようになってしまうよ」

というシンプルなメッセージですが、

「あおり運転をやめなさい」

と口で100回言うより、

確実にドライバーの注目を集める

インパクトある伝え方ですね。

 

ちなみにこの看板の写真は、

じつは何年か前に撮影されたもの。オ

ーストラリア人の友だちから

送ってもらったものなのですが、

その印象的なビジュアルから、

ドライバーの間では、

今でもかなり有名なものだそうです。

 

 

おわりに

 

さて、今回は企業やキャンペーンの

「ユニークな伝え方」をご紹介しました。

 

印象的なグラフィックや言葉あそびなど、

やわらかい発想で

工夫をこらした伝え方の数々は、

メッセージを受けとる側の気持ちまで、

ゆたかにしてくれる気がします。

 

みなさんもぜひ、街中でおもしろい

伝え方をさがしてみてください!

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