期待通りの仕事が返ってくる!デキる部下を育てる伝え方のコツ(中編)

期待通りの仕事が返ってくる!デキる部下を育てる伝え方のコツ(中編)
「部下をうまく育てたいけど、どうやったらいいのか迷う」
「やる気がない部下への声のかけ方がわからない」

 

部下をそだてる上司に「あるある」の悩みに、伝え方のヒントをご提案。

中編の今回は、コミュニケーションのコツを深掘ります。

 

部下と接するとき、意識したいコツは4つでした。

 

部下と接するときに意識したい4つのポイント
①「話し合い」
②「傾聴」
③「承認」
④「任せる」

 

これらをすべて言い表した名言が、日本連合艦隊・司令長官、山本五十六さんのコトバです。

 

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず

 

 

この名言を4つのポイントに分けて、順番に見ていきましょう!

 

①話し合う

部下と接する際の1つ目の極意、「話し合う」とは、どういうことでしょうか。

 

一方的に言いたいことを伝えるのではなく、また、おたがいの立場にかかわらず「対等に」会話することです。

 

このフラットなコミュニケーションが、部下をそだてるために欠かせない考え方です。

 

たとえば、意見が言いにくそうな部下に対して

 

× 「もっと思ったことをハッキリ言いなよ」

とストレートに伝えたくなる気持ちもわかりますが、これでは高圧的な印象を与え、部下はますます萎縮してしまうかもしれません。

 

「対等な関係」を意識して、こう言い換えてみましょう。

 

○ 「君の意見はいつも参考になるんだよね。いっしょに意見を出し合って、良いサービスにしていこう」

「いっしょに」という言葉が効いています。

(※仲間意識を感じさせる伝え方の技術「チームワーク化」といいます。詳しくは後編でお話しします)

 

上司はじぶんの思いや考えを一方的に伝えるだけでなく、部下とおたがいに対等な「話し合い」ができる関係づくりを目指しましょう。

 

 

②耳を傾ける

極意の2つめ、「耳を傾ける」とはどういうことでしょう?

ポイントは、話を「聞く」のではなく「聴く」ということです。

 

・聞く:音・声を耳に受ける。耳に感じ取る。
・聴く:注意して耳にとめる。耳を傾ける。
(出典:デジタル大辞泉)

 

つまり、話を受け身で聞くのではなく「積極的に聴く」ことで、部下のなかにある「答え」をひきだすということです。

 

これは、育成技術(コーチング)でコアとなる考えで、「アクティブリスニング」とも呼ばれます。

 

……と言うと、難しそうに感じられるかもしれません。

ですが、じつは、みなさんがいつもの会話で無意識にしていることです。

 

それは……

 

①あいづちを打つ:「うんうん、いいね」
②続きをうながす:「それからどうする?」

実は、これだけなのです。

 

 

部下「例のイベント、なかなか応募が集まりません…」

上司「なかなか集まらないのか。どうしようか?

部下「前に集客に強いオンラインサービスを使ったら効果がありました」

上司うん、いいね。それで?

部下「今回も、それを使ってみたら良いかなと思うのですが」

上司効果がありそうかな?

部下「ある程度、あるかなと思います。でも、もし効果がなかった場合に備えておく必要もあると思っていて」

上司うんうん

部下「過去に参加してくれた人に声をかけるのも良いかなと」

上司「お、いいんじゃない」

 

ここで注目したいのは、上司から部下に具体的なアドバイスをしていないこと。

 

「あいづち」と「うながし」という傾聴(アクティブリスニング)をくり返すことで、部下が自分の頭でしぜんに答えを導いているのです。

 

「あいづちを打つ」ことによって、部下は「しっかりと話を聴いてもらっている」と安心します。

きちんと話をしてくれるようになるには、この安心感が不可欠なのです。

 

また、「続きをうながす」ことで、部下はあわててアタマのなかを整理し、つぎの会話をじぶんで考えるようになります。

 

これをくりかえすことで、だんだん部下の頭のモヤモヤがクリアになるのです。

 

 

③承認する

極意の3つめは「承認する」こと。

 

よく、部下をそだてるには「ほめる」ことが大切といいます。

もともと人は誰しも「認められたい」という本能があるのです。

 

たとえば、

×「企画書やっておいて!」

ではなく

◎「君はいつも企画書のクオリティが高いから、今回もお願いできない?」

と伝えてあげることで、多少メンドウなお願いでも、快く受け入れてもらいやすくなります。

 

じっさい、人は承認されると「自己肯定感」がたかまるそうです。

 

さらに、日本セルフエスティーム普及協会によると、自己肯定感は「人生のあらゆる領域の土台」になります。

 

”自己肯定感とは「自分の存在そのものを認める」感覚であり、「ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的、好意的に受け止めることができる感覚」のこと
https://self-esteem.or.jp/selfesteem/ (日本セルフエスティーム普及協会より)”

 

これは、いきいきと活躍する部下を育てる上で、非常に重要なポイント。

 

はじめに、上司がしっかりとした土台づくりをサポートするからこそ、部下が大きく育つことを肝に銘じておきましょう。

 

 

④任せる

さいごの極意は、「任せる」です。

 

「正しく」仕事を任せると、部下には3つの良い変化が起きます。

 

ただしく任せると期待できる変化
①責任感をもつ
②自律的・自発的に取り組む
③モチベーションがアップする

 

ただし、「任せる」は諸刃の剣。

やり方を間違えると、かえって関係を悪化させてしまいます。

 

<NGな任せ方>
・部下の業務量を無視して任せる
・任せたものの、めちゃくちゃ細かいところにまで口を出す。または完全に放置する
・「とりあえず良い感じにやっておいて」のように大雑把に任せる

 

そうならないように、あらかじめ次のことを意識しておきましょう。

 

1)業務量のコントロール

現時点で残業の多い部下には、新たな仕事を任せない。

あるいは、イレギュラーが発生しにくい業務に限って任せる

 

2)リスクマネジメント

たとえ部下が失敗しても、お客さまや取引先への影響が限定的であることを確認してから任せる

 

3)タスク分解

任せたい業務を、あらかじめ細かな手順に分解してから任せる

たとえば、

×「議事録お願い!」

ではなく

◎「田中さんが前に作った議事録のフォーマットを見て、会議で話したことを同じようにメモして」

と作業の工程をくわしく伝える。(作業をマニュアル化してから任せるとベター)

 

4)進捗確認

仕事を任せたあと、進み具合やクオリティを適度に確認する。

確認のタイミングも伝えてあげると、さらに円滑になる。

×「良い感じになったら教えて」

ではなく

◎「任せた仕事が3分の1くらいできた段階で一度、見せてね」

のように伝えましょう。

 

以上が、任せ方のポイントでした。

 

 

さて、

中編では、部下を育成するときに意識したい、コミュニケーションの4つのコツを見てきました。

 

①「話し合い」(あくまで対等な関係を意識する)
②「傾聴」(あいづちと促しで自然に導く)
③「承認」(認められたい欲をくすぐる)
④「任せる」(最適な仕事を、取り組みやすい形で任せる)

これを忘れずに部下と接することで、部下はかならず育ちます。

 

「部下の育て方」後編では、これらのコツを踏まえた上で、じっさいにどう伝えたら効果的か?を提案します。

 

(後編へ続く)

 

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