【名言集】7月の伝え方ベスト

ながらく自粛していたお祭りが、

各地ですこしずつ復活しはじめた7月。

 

日本三大祭りの一つにかぞえられる

京都の祇園祭は、中止されていた

最大の見せ場、「山鉾(やまほこ)巡行」が

3年ぶりにおこなわれました。

 

予断を許さない状況ではありますが

生活のあらゆる場面で

しばらくしゃがんでいた分、

今年こそは

3年分の思いも詰め込んで

おおきくジャンプできる、

そんな夏になることを願って。

 

さて、今月もまた、

ハッと印象にのこるコトバたちが

たくさん集まりました。

佐々木圭一がとくに素晴らしいと感じた

伝え方ベスト3をご紹介します!

 

第3位

 

3人の子どもをそだてる

イラストレーターの羅鳩(らはと)さん。

車道へ飛び出しそうになった

見知らぬ子どもを

間一髪で救った「ヒヤッと体験」が

ツイッターで

注目を集めています。

 

ある日、

ウォーキングをしていると、

すこし前のほうに

幼い子どもが歩いていました。

子どもは、一人ぼっち。

 

しばらく辺りを見回しても、

保護者らしき人物は

近くには、いません。

 

「迷子!?」

「いったん保護しとこうかな……

ここ車多いし……」

 

と頭をぐるぐると巡らせていた、

その瞬間……!!

 

その子が突然、

車道へめがけて

猛ダッシュし出したのです。

 

羅鳩さんは、必死の形相で

「あぶぬぁああああい!!」

と、さけびながら、

背中から追いかけて

両脇を抱きあげ、

なんとか事なきを得ました。

 

子どもをかかえたまま

呼吸をととのえていると

うしろから男性がやってきて、

「ちょっと、なんですか!

うちの子なんですけど!」

と、鋭い口調。

 

男性は、その子の父親でした。

ただ、父親は

子どものずいぶん先の方を歩いていて

しっかりと見ておらず、

つい先ほど、

あやうく事故になりかけたことにさえ

気づいていない様子。

まるで羅鳩さんのことを

不審者扱いするかのようです。

 

そんな男性に、

羅鳩さんが放ったコトバがこちら。

 

「あの…子どもと歩くときは…
手をつなぐか…殿(しんがり)になってください」

 

殿(しんがり)とは

軍が撤退するときに、

最後尾で、敵からの追撃をふせぐ

役まわりのことをいいます。

 

もともとは、

後駆(しりがり)から転じたもので、

「列の一番あと」をさす

コトバです。

 

羅鳩さんが伝えた内容だけを見れば

「子どもの後ろを歩いてください」

といった意味ですが、

ふだんはあまり聞くことがない

時代劇がかったコトバを入れたことで、

インパクトを感じさせつつも

角が立たない、

ちょっぴりユーモラスな

伝え方になっています。

 

それにしても、

ご無事で、何より。(ホッ)

 

出典:ねとらぼ

 

第2位

 

世界ではじめて舞台化されたことで

話題をよんだ『千と千尋の神隠し』。

 

春に東京で初日をむかえ、

7月に名古屋で最終公演がおこなわれました。

 

稽古の期間もふくめれば

7か月近くにもおよぶロングラン。

 

上白石萌音さんと、橋本環奈さんの

ふたりの女優が

主人公の「千尋」役を交代で演じる

ダブルキャストも話題になりました。

 

もともと、

この千秋楽は

上白石さんが出演する予定でしたが、

新型コロナの影響で

橋本さんが急きょ、

代役をつとめることに。

 

最後の舞台をおえた後、

カーテンコールで

橋本さんたちが並び立つなか

上白石さんの姿はありません。

 

 

———と、そんななかでした。

 

サプライズで、上白石さんが

音声メッセージを寄せたことが明かされ、

感謝と祝福のコトバが流れたのです。

 

「大千秋楽、おめでとうございます。
長かったのに短かったこの7カ月、
まさに神隠しにあったようでした」

 

舞台上でこのコトバを聞いた橋本さんは

鼻を赤くして、大粒の涙を、ぼろり。

 

「同じ千尋の萌音ちゃんに

たくさん支えてもらいました。

代演が決まったときに

萌音ちゃんから連絡をもらって

『たくさん背負わせてしまうね、

本当にありがとう。

成功できるように

全身全霊で祈ってる』

という言葉をもらいました」

と、声をつまらせながら

たがいに支え合った日々を

ふりかえりました。

 

さて、この

「長かったのに、短かった」

という伝え方。

 

国語文法のテストなら

バツかもしれませんが、

それとは裏腹に、

聞き手に強い印象をあたえる伝え方です。

(伝え方の技術でいうと

正反対のコトバを並べて

印象を強める「ギャップ法」です)

 

タイトルに寄せた

「神隠しにあったよう」という表現も、

すごく直感的に共感できる、

上手な伝え方でした。

 

出典:スポニチ

 

第1位

 

社会学者の古市憲寿さんは

今月、親交のある

安倍昭恵さんのお宅に

お線香をあげにいったそうです。

 

そのときの

昭恵さんの様子を

朝のテレビ番組で、

こう語っていました。

「我々の方が

取り乱したりとかしていて、

それに対して昭恵さんの方が

“慰める”といったら

おかしいですけど、

気丈に振る舞われていたのが

すごく印象的でした」

 

この状況で

だれを責めるでもなく

だれに泣きつくでもなく

やさしく、おだやかに、

そして冷静にふるまう。

 

それは、

安倍晋三元首相を

いちばん近い場所で

ささえつづけた「夫人の強さ」

といえるのかもしれません。

もし自分だったら、

きっと、まねできないように思います。

 

ただ、仲の良い古市さんには

ふと本音も

ぽつりと口にされたそうです。

 

「昔だったら酔っぱらって家で飲んで
寝ちゃったときも主人がベッドまで運んでくれたのに、
今はベッドまで運んでくれる人がいなくなった」

 

空のベッドが鮮烈に頭にうかび、

当時の穏やかな日々を

抱きしめたい、そんな気持ちが

胸にギュッと迫ってくる伝え方です。

 

「さみしい」とか

「昔は良かった」とか

そんな直接的なコトバは

どこにもありません。

 

でも、それがかえって

コトバの余韻を強めているように

感じられます。

 

安倍さんご夫婦は、

以前から

近所で一緒にピザを買いに行ったり、

犬の散歩に行ったりと

「おしどり夫婦」として

有名でした。

 

「とても尊敬していますし、

ある意味、同志でもあります。

お互いに足りない所を補い合っている

パートナーでもあります。

でも、一番しっくりくるのは

『友だち』なのかな」

 

昭恵さんが前に

あるインタビューで

夫について語った

そんなコトバを、

いま、思い出しています。

 

出典:日刊スポーツ

 

ほかにもたくさんの

ステキな伝え方があったので、

ご紹介します!

 

「心がフワーッと溶けて、人を信じられる気持ちになれる作品」

(演出家の宮本亞門さん。
公演したオペラ『パルジファル』について語って)
出典:中日スポーツ

「自分でも不思議なくらい、今だ!今飛び立つ時だ!と感じました」
(乃木坂46の樋口日奈さん。
グループを卒業することをインスタグラムで発表して)
出典:スポーツ報知

 

以上、佐々木圭一が

独断と偏見で選んだ

ベスト3の伝え方でした!

 

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